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そして、おにぎりを食べ終わって、ペットボトルのお茶も半分ほど無くなった。
でも、西尾さんは何かを待っているようで、そこを動こうとしない。
その顔は真剣そのもので、少し緊張しているのか、帽子をせわしなく脱いだり被ったりを繰り返す。
まだ数日の付き合いだけど、西尾さんがこんな表情を見せるのは初めてじゃないかな。
霊の話をしている時の真面目な顔とは違う。
まるで、獲物を狙う肉食獣のように、通り過ぎる人達を見定めるように見ている。
その異様に鋭い眼光に、通行人もこちらに気付いても慌てて目をそらす。
そうか……無闇に動くより、人通りの多いここで、怪しい人を待ち伏せしようと考えてるんだ。
だったら私も……と、西尾さんに負けじと通行人に目を向けた時だった。
「……来たっ!!」
小さく声を上げ、弾かれるように道に飛び出した西尾さん。
こんなに早く見付けたの!?
急いで私も、その方向に視線を向けると……。
「やあ姫ちゃん。この爽やかな朝にキミと出会えるなんて、神様に感謝したいよ。この再会は運命だね」
「げっ!!あんたは昨日の変態!!」
まさか姫ちゃんが通るのを待っていただけなの!?
私を巻き込んで何をするのかと思ったら……。
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