疑惑の追跡

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「何言ってんの!!きっとデートなんだから、邪魔しちゃダメだよ!」 ……と、普段の私ならそう言うところだけど、昨日の響さんの行動が気になる。 悪い事だとは思うけど、西尾さんと二人で、響さんと姫ちゃんの後を追っていた。 「音彩ちゃんまでこんな事をするなんて、一体どうしたんだい?」 「うーん……ちょっと響さんが気になるだけ。西尾さんみたいに不純な動機じゃないからね」 「や、やつが気になるだって!?俺というナイトがいながら、あんな変態野郎が気になるとはどういう事だ!音彩ちゃん!」 あんたが一番変態だ!! どこをどう解釈したら、響さんが変態になるのよ! 「ああっ!もうっ!!昨日、西尾さんがコンビニの前で戦ってた時に、響さんが私に試験管みたいな物を見せて笑ったの!それが気になって……」 「試験管……か。よし、俺と音彩ちゃんの目的が一致したな。俺は姫ちゃんを、音彩ちゃんは変態野郎を尾ける。お互いハッピーじゃないか!」 いや、私は本当にあの行動が気になるだけで……でも、やってる事は西尾さんと何も変わらないんだよね。 そう考えると、私まで変態に片足を突っ込んだように思えて、なんだか悲しくなった。
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