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二人の後を尾けて、電柱や自動販売機の陰。
見付からないように、慎重に次の場所へ移動する。
尾行に慣れない私の視線に気付いたのか、時折姫ちゃんがチラリとこちらを振り返るけど、その都度、西尾さんに素早く引っ張られてバレずに済む。
さすが西尾さん……私と雫ちゃんに気付かれないように尾けていたテクニックがこんな所で活かされてる。
「真っ直ぐ駅の方に向かって行くな……よしよし、そのまま姫ちゃんを見送って一人になれ!変態野郎!」
一体何を期待しているんだか。
だけど、西尾さんの期待通りに、二人は駅に到着するまで怪しい動きを見せなかったのだ。
あの試験管は一体何だったのか……何もわからないまま、私達も駅に入り、姫ちゃん達はエスカレーターに。
この駅は、改札口が二階部分にある。
「むっ!これはいけない!」
小さくそう呟いて、急いで駆け出した。
え!?
私には気付かなかったけど、西尾さんにしかわからない微妙なアクションがあったのかな?
慌てて私も西尾さんの後を追うと……。
西尾さんは、エスカレーターに乗り、這うような体勢で姫ちゃんを見上げていたのだ。
「聖なる衣から覗く、神々しい白!……天使。マジ天使。間に合って良かった」
あんたはそれしかないのか!!
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