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「な、何してるのよバカッ!西尾さんの頭の中はそれしかないの!?」
私がそう言っても、西尾さんは体勢を変えようとしない。
そして、姫ちゃん達がエスカレーターから降りたと同時に、スクッと立ち上がって私を見た。
「嫉妬だなんて可愛いね。安心して、俺は音彩ちゃんの事だってしっかり考えているよ」
そう言い、私の肩に手を回して、これ以上ないというほどの爽やかな笑顔を見せた。
何言ってるのこの人!!
私が言いたいのはそんな事じゃない!!
「べ、別に私の事は考えなくて良いから」
「えぇっ!?そんな事言わないでさぁ!俺と音彩ちゃんは二人で一人なんだよ?」
そう言われて、何か気持ちの悪い物がゾワゾワと背中を撫でた。
二人で一人とか……幽霊に関しては確かにそうかもしれないけど、こんな状況で言われると気持ち悪さしか感じない。
「良いから早く追い掛けようよ。見失ったらどうするの?」
「おお、そうだね。麗しの天使が俺を待っている!」
ダメだ……西尾さんを更生させるには、村田さんみたいに殴り倒すくらいしなきゃダメなのかな。
そんな事を考えながら、私達もエスカレーターを降りると……そこには、思いもよらない光景があった。
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