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ビクッと身体が震え、冷たい物が背筋を走る。
一目でわかる、これはヤバい。
そこらにいる浮遊霊なんかは、強い想いがないからか、半透明に見えるのに、これは顔のシワの一つ一つが見えるほどはっきりとわかる。
その強い想いに、身震いをした私は慌てて立ち上がり、雫ちゃんの傍まで後退した。
「し、雫ちゃん、こ、この家から一旦出よう」
震えて、引きつった顔を向けると、一気に不安そうな表情に変わる。
「な、何!何!?何かいたの!?」
普段から霊が見えている私が、こんなに怯えている所を見た事がないからか、雫ちゃんも私の腕にしがみ付いて震え始めた。
「ベッドの下に幽霊がいるっ!!とにかく逃げてっ!」
私がそう叫んだ時だった。
バンッ!!
と、ベッドの下から伸びた手が、床に叩き付けられた。
「な、何なのよ!今の音!?」
見えないはずの雫ちゃんにも聞こえた音。
ただ幽霊が見えるだけの私が、下手に首を突っ込んではいけなかったんだ。
恐怖する私の前に、ベッドの下からズルリと、這って出て来た女性の幽霊が、私と雫ちゃんを睨み付けた。
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