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昨夜、私に見せた試験管……その中に、白い糸のような物が蠢いている。
あれは……まさか、蟲!?
「に、西尾さん!離れて!!」
私の声にピクリと反応し、姫ちゃんに伸ばした手を引っ込めて後方に飛び退く西尾さん。
「何だ音彩ちゃん!俺が他の天使の所に行くかと思って不安になったかい!?」
「響さんの腰に試験管が!」
もう、無視が一番だ。
「どんな男が除霊師かと思ったら、キミみたいな人だったとはね。色々残念だよ」
そう言い、指と指の間に挟んで、ホルダーから試験管を取り出した響さん。
「あの中に蟲が入ってる。西尾さん、気を付けて!」
「おっと……やっぱりお前が蟲の主だったのか。音彩ちゃんに話を聞いて、怪しいと思ってたんだよ」
……え!?そうなの!?
そうならそうと早く言ってよ!
「ちょ、ちょっと……響?」
「姫は黙ってて。この人達と話をしたら送って行くから」
何もわかっていない様子の姫ちゃんに優しく答え、西尾さんに視線を向ける。
「さて、ここで簡単なクイズを出そう。キミ達が動けば、僕はこいつらを撒き散らす。僕が育てた、僕の命令に従う蟲達だ。わかるだろ?ここには多くの人がいる。それが何を意味するか」
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