疑惑の追跡

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え?わ、私!? 違うかなと、横に移動してみるけど、響さんの指は私を追って向きを変える。 そして、蟲に憑かれた人達が、一斉に私の方に顔を向けたのだ。 全く知らない人達が同時に顔を向けたその光景は、異様そのもので……今までにない強烈な悪寒が走る。 「お、おい……音彩ちゃんを狙うとはどこまで腐った野郎だ!!お前は絶対に許さない!」 コートの下、太ももにベルトで固定されたトンファーを抜き、手の中でクルクルと回転させながら西尾さんは響さんに飛び掛った。 だけどそれは叶わず、近くにいた、キャリーケースを引いていたおばさんが、西尾さんに飛び付いたのだ。 横からの重量級の突撃に、あっさりと吹っ飛ばされて床に転がる西尾さん。 「僕よりも、音彩ちゃんの所に行くべきじゃないかな?この窮地を、どうやって切り抜けるか……見る事が出来なくて残念だよ。じゃあね。僕はここらで失礼するよ」 相変わらずの爽やかな笑顔を私に向けて、響さんは姫ちゃんと共に改札口の方に歩いて行った。 「くそっ!!放せババア!!二日連続でババアに抱き付かれるなんて嫌だあっ!!せめて、女子高生にしてくれっ!!」 必死におばさんを押して、何とか抜け出そうとしているけど……私の方は、もっと切迫した状況に陥っていた。
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