疑惑の追跡

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響さんの置き土産、蟲に取り憑かれた人達が、じわじわと私に向かって迫って来ていた。 「な、なんで私……」 「くっ!!音彩ちゃん、逃げろっ!!」 おばさんに押さえ付けられたまま、西尾さんが声を上げる。 その声で、慌てて振り返って走り出したのは、私と蟲に取り憑かれた人達。 に、逃げろってどこに!! 下りのエスカレーターを駆け下りて一階のホールを走り、駅を飛び出した。 振り返ってみると、言葉通り、操られた人達が私を追い掛けて、物凄い勢いで走って来る。 そのあまりに異様な光景は、幽霊が迫る以上に恐怖を感じる。 もしも捕まれば……一体何をされてしまうかわからない! 響さんは酷い事をしないと信じたいけど……あの様子だと、殺される可能性もないと言い切れない! 張っていた網に、偶然引っ掛かった西尾さんを炙り出す為に、雫ちゃんに蟲を憑かせた……そして、西尾さんを陥れる為に、雫ちゃんを殺そうとしている。 昨日出会ったばかりの私なんて、ただ目的を達成する為の道具に過ぎないのかな。 そう考えると少し悲しくなるけど、今はそんな事を考えている場合じゃない。 この状況をどうにかしないと……。
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