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ドゴンッと、恐ろしい音が聞こえて、追い掛けて来ていた人達の、一番先頭にいた人が地面に叩き付けられて転がる。
「……三人もやれば巻けるな。お嬢ちゃん、どこかに隠れてろ!俺は除霊なんて出来ねえからよ。お前らには悪いが、力ずくで行かせてもらうぜ!」
村田さんがそう言ってくれたから、私はビルとビルの間の狭い空間に身を隠した。
エアコンの室外機の裏で屈んで。
道の方から、豪快な声と鈍い音が聞こえる。
しばらくして……村田さんがこのビルの隙間の前に背中を向けて立ち、くわえたタバコに火を点けた。
その直後、大勢の人達がこの前を通り過ぎて行く。
「どこだ、どこに行ったああああぁぁぁぁぁっ!!」
「主の為に、あの女を殺せぇぇぇぇぇっ!!」
さっきまでは、殺せなんて言っていても、捕まったら響さんの所に連れていかれたりするかな……と、思ったりもした。
でも、確実に私を殺そうとしている人の群れに、改めて恐怖を感じた。
「おいおい、随分物騒じゃねえか。彰から少し話は聞いたけどよ、一体何があった?」
人の群れが通り過ぎて行ったけど、村田さんはまだ出るなと、私に掌を向けて制した。
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