疑惑の追跡

21/32
前へ
/182ページ
次へ
村田さんに連れられて、私は喫茶店へと向かう事になった。 堂々と道の真ん中を歩く村田さんに対し、私は周囲を警戒して、物陰に隠れながら。 たまに私を見付けた、蟲憑きの人が襲い掛かって来るけど、その都度村田さんの容赦のない一撃で地面を舐めさせる。 この人、何なんだろう……不意打ちとは言え、あの西尾さんを殴り倒して気絶させたくらいだから、凄く強いのは……まあ、見た目で分かるんだけど。 それでも、村田さんの手を煩わせないように、出来るだけ身を隠して、私は移動をし続けた。 その結果、喫茶店に着けたのは10時も過ぎた頃。 開店が9時らしいから、一時間の遅刻だ。 店に入り、外から見えないようにカウンターの中にかくまってもらう。 さすがにここまで来たら、蟲に憑かれた人達も追って来ないようで、とりあえずは一安心。 「この時間だとしばらくは客は来ねえな。準備するには丁度良い」 フフンと笑い、布巾を取り出してカウンターやテーブルを拭き始めた。 西尾さんと村田さん……聞きたい事は沢山あるのに、転がり落ちるように色んな事に巻き込まれて、何から聞けば良いかわからないよ。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2166人が本棚に入れています
本棚に追加