第1章

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『俺と結婚してください!!!』   宮田さんのスマホから聞こえてきたのは、 間違いなく俺の声。 「ほんとだったんだ……」 「そう」   宮田さんの顔が、 ちょっとだけ悲しそうに歪んだ。 「ちっちゃいときは、 そんなことわからなくて笑ってたけど。 でも、小学生くらいになると まわりがそれで揉めたりして、さ。 いっつも求婚されるのも鬱陶しかったし。 だからだんだん笑わなくなった。 ついうっかり笑ったせいで 誘拐されたのも一度や二度じゃないし」 「……苦労したんだな」 「まあ、これのおかげで助かったこともあるよ? 近所の土佐犬に吠えられたとき、 笑ってみたら反対にすり寄られたし。 これ、生き物だったら効くみたいで。 それにしつこいナンパとかも撃退できるし」 「プロポーズされるのに?」
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