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腕を上げたまま自分の背中に振り返るキョウカ。
「えっ?」
メキメキと背中から悪魔の翼が生えきる。
怯えた顔で俺を見上げる。
その羽根の形状からいって危険な悪魔ではない事がわかる。
キョウカの瞳が栗色から金色に輝く。
頬を両手で包み、キョウカの顔をしっかり見つめる。
不安に瞳を震わせるキョウカを安心させる為に、口づけを落とす。
その瞳が赤く染まる事はない。
俺自身も安心してキョウカをぎゅっと抱きしめる。
「カイン…私羽根が生えてる?」
「大丈夫だ。訓練すれば俺みたいに背中に翼を隠しておける。」
「私、どうなっちゃうの?」
「俺がずっとそばにいるから、大丈夫だ。」
「カインみたいに…人間らしくなれる?」
「…ああ。ちゃんと訓練すればな。」
胸にしがみつくキョウカの指に力が入る。
「キョウカ、頼みがある。」
「何?」
「お前は今、人間と悪魔の血を持つハーフだ。また、ルイみたいにお前に近づく悪魔がいるかもしれない…」
顔を俯かせるキョウカの頭を撫でる。
「お前を守り切れず失うのはもう沢山だ。」
「カイン…」
「キョウカ、身も心も魂も全てを俺に捧げろ。俺の…妻として、永遠に俺のそばにいろ。」
瞳を瞬かせキョウカがじっと見つめてくる。
「ぷ…プロポーズ?」
口角を片側だけ上げてはにかむ。
「そうだ。お前は俺の永遠の女神だ。」
顔が真っ赤に染まり恥ずかしさに胸に顔を埋め頷くキョウカを可愛いと思った。
キョウカの手の甲にキスをして顔を覗き込み、見つめ合いながらキョウカの白くて細い指に指輪を通す。
「あっ!」
指に光るスクエアカットのダイヤの指輪に顔を綻ばせるキョウカ。
「綺麗…。」
「俺の妻に…なってくれるな?」
「…はい。」
見つめ合い、二人は何度もキスをした。
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