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カインが出掛けた後、部屋で何度も自分の指をかざして指輪を見つめる。 私…カインのお嫁さんになるんだ。 結婚なんてまだ考えた事無かったけど…、この先私をずっと愛して守ってくれる。 ずっと一緒だと感じると嬉しくて仕方ない。 永遠の女神だって…! 凄く恥ずかしいセリフなのに、カインの表情を思い出すと胸に甘い疼きが広がる。 突然悪魔になってしまったショックは大きいけど、カインがずっとそばにいてくれると思うと、勝手に顔がにやける。 不安は沢山あるけど、ずっとカインがいてくれるからきっと大丈夫。 前向きな気持ちで行こうと自分に言い聞かせて、これから始まる全ての事にワクワクした。 部屋の中の姿見で背中の翼を見る。 「私飛べるのかな…。」 ジャンプしてみる。 「きゃっ!?」 カインの部屋の天井は高く、その天井近くまで飛び上がった事に驚く。 す、凄いジャンプ力。 バスケやってた時にこのジャンプ力があったら…なんて笑ってしまう。 頼りないスカスカの翼がパタパタと宙を仰ぐ。 身体を斜めに傾けベッド目掛けて降りてみる。 「わっ!」 バフっとベッドに飛び込む身体。 「面白いっ!」 ガチャリと扉が開きカインが帰って来た。 「カインっ!私空飛べるっ!!」 驚いた顔をしてカインは苦笑いをする。 そんなカインのそばに飛んで行こうとしても上にしか飛べない。 「あれ?」 「お前はなかなか運動能力が高いな。」 ベッドに腰掛けたカインが腕を広げる。 さっきやったみたいに下へと、カインの腕の中に飛び込む。 ベッドの上のカインをどさっと押し倒してしまい笑い合う。 下から私を見上げるカインが私のうなじに触れ自分の方に引き寄せる。 そして重なる唇…。 熱い吐息が漏れ、カインが耳元で囁く。 「明日、式を挙げる。」 「えっ?」 驚いてカインの顔を覗くと私の髪の毛をかき上げる。 「それからは毎日訓練だ。」 「…訓練って?」 意地悪そうな笑顔で私の鼻を摘まむ。 「魔法、呪文、飛行訓練、人間の姿を保つ訓練、毎日必死でやらないといつまでも人間界には帰れないから、覚悟しとけよ。」 「人間界に帰れるの?」 くくっと笑うカインが頭を撫でる。 「ああ。人間の姿を持続させる事が出来るようになれば人間界に帰れる。」 なんだか楽しそう。 「人間界に帰ったら…今まで通り、女優も続けられるの?」
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