第1章

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4月8日― 桜が綺麗に咲いている歩道を歩く。あと100メートル程で目的地に着く。 真っ白の外観に、お城のような形をして、明らかに周囲に溶け込んでいないあの建物。10年前に出来たばかりで、歴史はあまりない。なのに、コマーシャルとか使って大々的に宣伝していた。 校門前に近づく。 そこには、なんでそこまで達筆にしたって程に力強い字で校門名が書かれている。 ―私立 白凛高等学校― ここが、これから俺が通う高校。 別に興味があった訳じゃない。ただ何となく選んだ。強いて言えば、コマーシャルがツボだったから。だって、パンチパーマの眼鏡親父が行きなり出てきて、「ここはなんだー?そうか!はっくりんこうこう!はっ、はっ、はっくりん!!」って、くしゃみしながら校名紹介するんだよ? あまりのセンスの無さと、謎のパンチパーマ親父につられたね。 まー別に後悔はしてないんだけど。 校門を越えると、沢山の入学生がいた。 「おっはよー!」 「あっ、久しぶりー!元気だった!?」 いたるとこでこんな会話が聞こえる。 あと、親も連れてるのがいっぱいいるな。 え?おれ? 俺は一人ですよ。親父は「頑張れよ」って言ってすぐ会社行っちゃうし、母さんは逆に「どうしましょ!?寝坊しちゃった!!今日は颯介の入学式なのに!!あー、お化粧しないと!!」とか言って、家出る5分前に起きてくるし。お前待ってたら遅刻だわ!! って、感じで、一人ですよ。全く、なんつー親だよ。ま、どうでもいいんだけどさ。
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