【14】華燭の宴

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これまでの人生は彼女にとって幸いだったのだろうか。 人生と言う名の荷は本来重いものだ。 僕と彼女、ふたり分の人生を僕は抱えて生きていく。僕はできる。 曲がった角に、前を見て立つ。 小さな平屋の文化住宅。愛しの我が家だ。 ここから始めるんだ。ふたりで。 一歩後ろに立つ彼女のところまで足を戻して、幸宏は言った。「ただいまあ!」と大きな声で。 幸子はこくりとうなずく。 がらがらと玄関の引き戸を開けて、若夫婦は小さな我が家に入って行った。
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