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これまでの人生は彼女にとって幸いだったのだろうか。
人生と言う名の荷は本来重いものだ。
僕と彼女、ふたり分の人生を僕は抱えて生きていく。僕はできる。
曲がった角に、前を見て立つ。
小さな平屋の文化住宅。愛しの我が家だ。
ここから始めるんだ。ふたりで。
一歩後ろに立つ彼女のところまで足を戻して、幸宏は言った。「ただいまあ!」と大きな声で。
幸子はこくりとうなずく。
がらがらと玄関の引き戸を開けて、若夫婦は小さな我が家に入って行った。
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