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「おっさんで、仕事の時はピシッとしてて、周りに目が届いて細やかに気を配れるのに、そうじゃないときはなんかふにゃふにゃ頼りなくて、かわいい室長が、好きなんです」
習志野は、蕁麻疹が出そう。なんて憎まれ口を叩きながらも俺の頭に手を寄せて、わしわしと髪をもみくちゃにする。
もう一度、習志野を組み敷いた。指を絡めてシーツに縫い付ける。習志野からはぁと、熱い吐息が漏れて、少し潤みを帯びた瞳と目が合うと、体の芯がカッっと熱くなった。
「ん……んふっ……遅刻、するぞ……」
「ん、あとちょっとだけ……」
「ん……っく」
劣情に任せて、習志野の唇を貪る。舌を絡めると、昨日よりも積極的に習志野の舌が応えた。
そうやって、少しずつでいいから、心も俺に応えて。そしていつか俺を好きになって。
「じゃ、この続きはまた夜にですね」
「ばっ……」
「今日は一緒にシャワーを浴びて、ちゃんと口でも愛させて」
「……変態。あっ……そういえば、幽霊って朝はいないのか?」
「そんなの、はじめからいませんよ」
「ええーーっ!」
ちゃんとした大人のくせに、そんな抜けたところのあるあなたが好きだ。
「幽霊がいなくても、これからも室長にはずっといやらしいことしますから」
「……」
「覚悟してくださいね」
「…………うん」
………………やっぱりこっちが撃沈。かなわねーな。
END
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