異変

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 何気ない会話だったが途端に寒気が襲った。小さく足が震え僕は僕をコントロールできていないことに気付いた。  岸先生が僕の異変に気付いたのか「どうしたの?」と聞かれ、僕は首を横に振り何でもないという意思を示すと「すいません。部屋に忘れ物をしたので」と適当な理由をつけて席を立った。  岸先生に僕の言葉の色が見えていると報告していないのは幸いで、リビングから出た僕はこの時期の寒さではない寒気を感じると自室に駆け込んだ。  自室の鍵を閉めることはできないため僕は無言でベッドの上に体育座りで蹲る。自分の体が小さく震えているのが分かる。 「岸先生……」  独り呟くともしかするとという考えが頭の中によぎると僕は慌てて首を振った。そんなわけがないと考えても一度浮かんだ考えは消せるはずはない。消えるどころかはっきりと自己主張してくる。
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