異変

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 翌朝。僕は岸先生に「勉強をしに図書館へ行ってきます」とそれなりの理由を作ってから空のリュックサックを持って裏道を通り学校へ向かった。  僕は学校を見上げ一息ついてから中に入った。昨日の楽しみだった僕の心持ちとは違うためで、今日は縋(すが)るような気持ちだった。昨日とは変わらぬ玄関、昨日とは変わらぬ風景ではありながら僕は少しの違和感を感じた。  持ってきた灰色のスリッパを履き僕は職員室に向かった。閉ざされたドアをノックすると事務員らしき眼鏡をかけた男性が出てきた。 「はい、なんでしょうか」  勢いづけて職員室のドアをノックしたのはいいもののなんていうかは決めていなかった。僕は時折詰まったり、しどろもどろになったりしつつも僕は「曽村先生はいますか?」と言う意図の質問をした。 「曽村、先生?」  事務員は少し考えているようだったが「少し待っててね」と言い残すと職員室の中に入って行った。今日はいないのだろうか僕がそんなことを考えているとややあって職員室に入っていた男性の事務員が出てきた。
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