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そうして過ごしていくうちに、すぐに自身に起こった二つ目の異変に気付いた。
これは目覚めてからすぐに気づいていたことである。先生や看護師の顔、病室、花の色__全ての色が抜け落ちていた。
そのことを月島先生に話してみると数時間後に昔の白黒テレビの解説をさせられた。
僕の見ている世界もこんな風だ、と月島先生に説明すると彼は考え込み、担当ではないから何とも言えないが、このような病気はまれにあるのだ、と説明してくれた。
白黒テレビの解説を聞いた中でいくつか気づいたことがある。大まかに言えば光が全面的にあたっている場所が白色、光と影が混ざった場所が灰色、完全な影が黒色だった。
ただし『光が全面的にあたっている場所が白色』とはいったものの、月島先生の口から語られている言葉の『白色』とは少し違っていた。月島先生の口から語られている言葉の『白色』のほうが、純白の白色で、何一つ混じっていない色だ。一方、光を表す『白色』は、ほんの少しだけ他の色が混じっているような気がする。
語彙力があまりないせいか、僕はこの色の違いを表すことが出来そうになかった。もし、時間があったら色の種類とかの本を調べて、読んでみよう。それと言葉を学ぶために普通の本も。
もちろん、月島先生とか他の先生が推奨して本を読むわけではないが、何もせずにじっとしているのが僕はじれったかったのだ。一刻も早く何かを思い出すきっかけになるものを、この手で得たかったのである。
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