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モノクロの世界になってからではあったが、三つめの異変に気付いた。
問診や日常的な会話を通して言葉にしか色が見えず、それに加えて、その言葉の色は発言者の心情を表していた。
例えば言葉の色が『黄』だった看護師さんがいたとして、その人が五分後に来たら怒っている口調で言葉の色が『赤』だったということもあったため僕の推測は当たっているのだろう。
いや、他にもこのような事例はあるから当たっているとしか言いようがないのだが。
記憶喪失と『言葉に色が視え色が心情を表す』と言う現象の原因は記憶を失う前の『僕』が交通事故に巻き込まれたせいだった。
僕が目覚めた後、僕自身について色々聞かれたのは身元を判明する物を持っていないからだと聞きに来た刑事さんから聞いた。しかし、僕には記憶がないため自分自身について何も語れなかったのだ。
色の本を読み漁ったところ、たいして覚えてはいないが僕が視えている色と何度も一致する部分は何度も復唱し、必死になって覚えた。
この本、分かりやすいからいずれか買おうかなと考えながら僕はその本の題名を紙に書いて、今でも保管している。
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