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薄暗い部屋の中。俺はパソコンの画面を睨み付けながらキーボードを叩く。
部屋はカーテンが閉められ、扉も鍵をかけている。今この部屋を支配しているのは、カタカタと音を立てるキーボードだけだ。
時間は午前3時。0時から始めたが、未だに欲しいアイテムを相手がドロップしない。確かにドロップ率は5%と低めに設定されてはいるが、始めてから3時間経ってるんだからそろそろドロップして欲しい。
「…よし、やっと終わった。結果は?…チッ、またドロップしなかった」
俺は舌打ちをしながら座っている椅子にもたれ掛かる。
時間的にあと少ししたら学校の準備始めないといけない。クソッ、今日がもう休みだったら良かったのに…。
現在は7月7日、もうすぐ俺の通う睦月学園では夏休みが始まる。進学校だけあって、夏休みの宿題はかなりの量が出される。まぁ、量が量だから宿題は早めに配られ、夏休み前から少しずつ進めて良いということになっている。俺も貰ってやった。ってか終わっちゃったし…。
「…夏休みか…、今年は“これ”やって過ごそうかな」
俺はパソコンの画面を再び見ながらそう口にする。
“これ”とは、今大人気のオンラインRPG【Destiny Gate】だ。幼馴染みに進められてやってみたが、これが結構面白い。自分のやりたいジョブを1つ選んで、そこからレベルとスキルを上げていく。
ジョブはいくつか存在し、【戦士】、【魔道士】、【神官】、【錬金術師】などがある。
俺が使っているジョブは【錬金術師】。このジョブは色んな武器を使うことができて、尚且つアイテムさえあれば錬金術で別のアイテムを作ることもできる。使ってて楽しいジョブだ。
話を戻す。夏休みは幼馴染みもちょくちょくログインすると言っていたので、少し手伝って貰うかな。
「……そろそろ準備始めるか」
俺はパソコンを閉じ、学校の準備を始める。
こうしてまた今日も、俺…新藤拓也のつまらない日常が始まろうとしていた。
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