第2章 困惑

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恐怖か絶望か、それとも両方か分からないが、「彼」は顔面蒼白な顔をしてモゴモゴと何かを呟いている。 それは本当に本当に小さな声で、彼の今の心理状態を表しているに違いない。 「これは夢だ、幻想だ。こんな世界あるはずがない」 「何だよ異世界って………何なんだよ一体」 「カエリタイ、カエリタイよ………」 「俺が昔こんな世界に憧れていたから、きっと神様が夢の中で見せているに違いない」 「なら少し経てば夢から覚める。もう少しで現実に戻れる」 「それまでの辛抱だ。耐えろ、耐えろ、耐えろたえろたえろたえろたえろたえろたえろたえろたえろ………俺は帰れる」 「彼」は行く宛ても無いまま少しずつ歩き始める。 まるでそこに住み憑く亡霊であるかのようにフラフラと、四方八方へと歩き回る。 「彼」の意識はもうそこには無くなってしまっている。
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