序章

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さて、そんな「彼」だが何の拍子にか異世界に迷い込んでしまった。 「彼」は本来であれば、異世界に来る事なんて無かったはずである。 そのような世界等、存在しない世界であるから。 しかし「彼」は来てしまった。 異世界否定派の「彼」は、どの様に生き、順応し、出会い、日々を過ごしていくのだろうか。 誰が物語の内容を知っているだろうか、いや、知らないだろう。 物語を動かす力など、「彼」は持っていない。 世界を左右する力など、「彼」は持っていない。 ましてや、物語を進められるかどうかさえ不明瞭である。 しかしここには、埋もれていた微かに残る「彼」の人生がある。 これは記憶にも記録にも残らない、ある青年の異世界転生物語である。
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