6人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「彼」は困惑していた。
気がついたら、見知らぬ森の中に佇んでいたからである。
辺り一面を見渡してみても木、木、木…………………。
「彼」の中のありとあらゆる知識を掘り返してみても、まるで見たことの無い様な木々が生い茂っている。
見たことの無い木。見たことの無い空の景色。見たことの無い虫のような生物。
「彼」は瞬時に、ここが自分が住んでいた所とは違う世界ではないかと考えた。
何故なら、昔「彼」は所謂異世界というものを調べまくっていた時期があり、知識は沢山ある。
「彼」もまさか、このような所でそれが役立つとは思わなかっただろう。
だが、運命とは複雑なものである。
知識があっても、それを実行するだけの力が無い。
それは、彼自身が一番分かっていることだ。
『力が無ければ、生きてはいけない』
最初のコメントを投稿しよう!