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女も大概判らねえが、
自分がそうでありながら
男も相当難解だ。
粉々にぶっ壊したいのと、
ずぶずぶに甘やかしたいのと、
どっちも同時に
やってしまいたくて仕方がねえ。
……ガキの頃から。
──甘やかすのはともかく、
壊す方はやった瞬間
俺もそうなるんだろうな、と思う。
自分が壊れるのは怖くないが、
俺はありのままの志緒が好きだ。
そしてたぶん、
大事なんだろうと思う。
代わりなんていねえ、と
思った瞬間泣きたくなる。
俺のことなんてどうだっていい。
だが、志緒だけは別なんだ。
その志緒が、
こうして抱き返してくれることで
同じ気持ちだと
伝えてくれるから──
ああ、じゃあ俺も
自重しなくては、
なんて思えるんだ。
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