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「志緒……志緒、志緒」
「拓海さ、ん……ッ」
拭うのも追いつかないほど
泣き濡れた瞳の中に、
体ごと落っこちてしまいたかった。
「好きだ……死ぬほど、好きだ」
もう頭が回らないから
好きだと口走るが、
俺は未だに恋だの愛だのは判らない。
──が。
俺が志緒との間に
感じているものが
そうじゃないのなら。
この世に愛なんてものは
存在しないと思う。
そして愛なんてのは
そんなお綺麗なものじゃねえ。
熱いし、執拗だし、
他のものと混ざれねえほど暗い。
だからこうやって時々
2人で放熱しねえと、
心も身体も滅ぼすものだと思う。
これは、
やりたいばかりの言い訳なんかじゃねえ。
たぶん。
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