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──俺はどうかしている。
マイクスタンドを掴んだまま、
強いライトに眩暈を覚えた。
生放送の音楽番組、
そこで与えられた時間内に
パフォーマンスしたのは、
新曲と。
……自分で
拙い作詞をしたままの
デビュー曲の亜種。
こっそり冴とも打ち合わせして、
何とか自分の頭の中だけで
整えた詞だ。
芸術らしい含みなんて
何もない。
ただ言いたいことを
並べただけの、
拙くてこっ恥ずかしい歌。
局内のどこかで、
志緒が見ているのは知っている。
“いつか君が俺に望んでた
景色をまだ今でも見せたい
遠く遠くここまで来ていた
寒い夜を越えられなくて
眠れずにいた ひとりきり”
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