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口唇がなめらかにこすれ合って、
舌と舌が悪戯をするように
掠め合う。
何度しても、
キスってのは不思議だと
思ってしまう。
それまでしっかりしていた意識を、
ごっそり酩酊に引きずり込むからだ。
触れ合った口唇を離せずに、
音がするほど繰り返す。
──2人の体温と、
何度も何度も撹拌したせいで、
熱く溶けたガムみたいに
なってることに眩暈がする。
俺だって、
とっくに理性はお留守だ。
「志緒」
「……うん?」
「……好きだ。
お前が、好きだ……」
彼女の口の中に落とし込むように、
甘くささやいた。
混ざり合う呼吸の向こうで、
志緒の潤んだ瞳が見開かれる。
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