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そうして盛り上がってきた
新しい涙が、
はらはらとまたこぼれた。
今度こそ本気で
泣き出したらしく、
まったく女ってのはよく判らねえ。
両手の親指で
涙が流れるのを阻止しながら、
口唇をまた塞ぐ。
逃げ場なんか
なくしてやりたくて、
ゆるやかだった動きを乱してやった。
「……ン、あ、あ……」
素直な志緒は、
また俺の腕の中で小さく爆ぜる。
この女の素直が過ぎることで
よくないのは、
俺を追い詰め返すことだ。
飲み込みてえのか、と
訊きたくなるほどしっかりと
包み込んでくるもんだから、
こっちがやった分だけ
余裕が奪われる。
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