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──ああ、
花火、
早く見せてえな。
もう最後まで
突っ走ってしまいたくて仕方がない、
動物みたいな思考の真ん中で、
この女を愛しいと思う気持ちが
しっかりと居座っていて。
恥ずかしいと思った瞬間、
俺が好きだと言う度
泣き出す志緒の気持ちが、
少し判った気がした。
「あ、だめ……
拓海さん、
も、ほんと、ぁ……」
「……まだだ」
がり、と耳朶を強めに噛んで
志緒の意識を強引に引き戻す。
息ができないと
ささやかに訴えられるが、
志緒はしっかり息を継いでいるし、
とりあえずこれで死んだやつはいねえ。
夢中で続けながら、
俺も自分がおかしいと思った。
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