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「……てめえ」
とっさに湧き上がった苛立ちは、
紅く歓喜の色を帯びている。
噛まれて、
ほの暗い悦びが
湧き上がるとか──
どうかしている。
もっといじめてやろうか、と
あやしげな恍惚が
背中を駆け上がった。
さっきはこれ以上は
無体なことだと思っていたのに、
衝動は180度違う方向に俺を導く。
「いきてえのか、ん?」
「……ッ、は、ぁ……」
もはや言葉を紡ぐことさえ
困難な志緒を見下ろしながら、
ぐっと体ごと押し込むように突き上げた。
「あッ、あ……!」
短い悲鳴を上げながら、
押さえ込まれているのに
のけぞる細い体。
折れてしまわないかなんて
心配は欠片も出てこない。
いっそもっと跳ねろ、
なんて思う。
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