こうして俺は執事になった

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「買います。優人さんを。1000万で。」 そう言っていかにもお嬢様といった謎の美少女は、これまた美少女のお付きのメイドらしき人物に車のトランクから何やら持ってこさせた。 映画やドラマなんかでよく見るアタッシュケースだ。 メイドがそのアタッシュケースを開けると、中には見たことのない量の諭吉さんが綺麗に並べらていた。 俺も、俺を連れて行こうとしていたヤクザの下っ端達も、あまりのことにリアクションが取れないでいる。 「1000万あります。 これで瀬場様を。」 メイドがそう言うと下っ端達は顔を見合わせ、アタッシュケースを持って去っていった。 残されたのは俺、謎のお嬢様、メイド。 「ええっと…。」 何この状況。 あまりに怒涛の展開過ぎて、頭が追いつかない。 わからないことだらけだ。 だけど確かなことはある。 俺はこのお嬢様のおかげで助かったということだ。 「あの…」 「間に合って…良かったです……優人さんっ…??」 「おわぁっ!?」 俺がお礼を言わんとした矢先、お嬢様は俺に泣きそうな表情を浮かべながら抱きついてきた。 不意をつかれた俺はお嬢様を支えきれず、そのままお嬢様ごと倒れてしまった。 少し背中が痛かったが、お嬢様はそんなことはお構いなしに俺の胸で泣き始めてしまった。 だがそんなことよりも気になった点が2つ。 『ふにゅん』 「ちょっ…!」 1点目はお嬢様の胸が当たっていること。 しかも中々にふくよかだ。 C…いや、Dくらいはあるんじゃないか? 正直、ラッキーだと思わなくもない。 そして2点目は…。 「ジーーーッ…」 メイドが俺のことを睨んでいることだ。 眼力だけで人を殺せるんじゃないかという勢いで睨んでいる。 「ちょっと…! 一旦離れて…!」 胸が当っている幸せより、メイドのプレッシャーが勝った俺はお嬢様を引き離そうとする。 だか、お嬢様は依然と泣き続けて離そうとしてくれない。 どうしてこんな状況になったのか。 お嬢様が泣き止んで俺から離れるまでの間、今朝から今までにかけての出来事を順を追って話していこう。
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