2人が本棚に入れています
本棚に追加
春の暖かい風が私の自慢のロングの黒髪を靡(なび)かせる。
ふんわりとした春の午後。
私はお昼ご飯を買って、いつもように道場に戻るところだった。
ふと、前を見るともうほぼほぼ散った桜の木を見ている男性が1人居た。
私はその後ろ姿だけで誰なのかはすぐに解り、駆け足でその人のところへ向かう。
私はきっと今にやついてるんだろうなぁと思いながらもこの嬉しさから足を止めることは出来なかった。
その人まであと数メートルというところで、
私は足を止めて、笑顔でその後ろ姿に声を掛けた。
「あっ!由衣先輩っ!」
とっくに気付いているのに今気付きました的なあざとい演技をした。
すると、私が好きな人は振り返り。
「おう!久しぶりやな!彩衣!」
と、顔をくしゃと崩して満面の笑みで私に答える。
ぁあ。だからこの人には敵(かな)わない。
最初のコメントを投稿しよう!