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 眠ったままで金色の髪に戻った少年が、ようやくその目を開けた時には、しばらくの時間がたっていたようだった。 「あぁー! 起きたよ小鳥ちゃん、小鳥ちゃんのおじさーん!」  心配げに少年の様子を窺っていた幼げな花形が、少年の意識が戻ったことを、円形に座る者達に慌てて伝えていた。 「ユーオン、大丈夫!?」  真っ先に駆けつけた赤い髪の娘を、少年は不思議そうに見る。 「……あれ? ……ツグミ……?」  まだ頭がぼやけたような少年が、それでもただ一つ。すぐに大きく気になったことがあった。 「何で――……そんなに、怒ってるの?」 「バカ! 何時間眠ってたと思ってるのよ!」  そして娘は、珍しく申し訳なさそうな顔で、その後すぐに目を伏せていた。 「多分、この間に使った呪いがまだ、続いたままだったんだわ……『自重』させてた『銀色』が無理に出ようとして、大きな負担になっちゃったんだと思う」  その解除を忘れていた、と辛そうな目で俯いた娘。何とか上半身をゆっくり起こした少年は、何で? と、困った気分で穏やかに笑った。 「そっか。最近銀が出なかったのは、そのおかげだったんだ」  それはむしろ、有り難かった。相変わらず平和な声色で口にする。 「そこまでして、無理に出ようとする銀が悪いだろ。ごめん、ツグミに気を遣わせて」  まだ少しだけ痛みの残った胸をさすりながら、自然な表情で、淡々と少年は口にしていた。 「――ったく。ようやく起きたか、ちゃんと金色で」  少年が倒れていた間、師は長々と、一座のマネージャーに加えて帰って来た外回りの花形と話していたらしい。一度話を切り上げ、目を覚ました少年の方へやってきていた。 「そこまでさっき、銀が出る必要あったのか?」 「……全然。何でそうなったのか、オレにもさっぱり」  不可解気な師に、少年も全く同意で頷く。 「大丈夫? 今、ルンとスカイがお水を取りにいってくれたわ」  師の後ろで、外回りの黒髪の花形が心配そうな目でしゃがみこんでいた。しゅん、と親身に心配している姿に、複雑な心情になった少年は思わず目をそらしていた。
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