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 内回りの演目と、練習予定についての説明が終わった後で、その日の外回りが始まった。  「鶫」という名をそのまま芸名に、何故か内輪では小鳥と呼ばれる、赤い髪の娘だった。 「ルンと私も、セットみたいな名前だしね。うちには後一人、鴉もいるから、鳥同士でちょうどいいわ♪」  平坦な広場や、良い時には能楽堂があるような場所を回り、各地のワープゲートまで駆使して、京都の周辺地域一円に一座は得意先を持っていた。 「外回りで内回りの宣伝をして、各地からお客を集めるのです。てなわけで、君達はチラシ配りをお願いしますねぇ」  どうせついてくるなら、と、少年と帽子の友人は分厚い紙の束を渡されてしまった。そうして黒い女に体よく使われていたのだった。 「何かスカイさん、誰かに似てる気がするなー。でも誰かなぁ」 「にしても……何でクヌギまで手伝うんだ?」 「ええ? だってこういう、色んな所に行くのって珍しいし、楽しいよ♪」  一座の中で、すぐに行方不明の妖精扱いされる少年にとって、知り合いの話し相手がいるのは正直有り難い。外回りの舞や芸が披露される傍ら、隙あらば広告を配りつつ、どうでもいい様々なことを沢山、帽子の友人と喋り合う日々となっていた。  ちょうど、年が明けてまだ半月程度だった。ユーオン君は初夢見た? という話題が、少年には印象に残るものだった。 「僕はねぇ、初夢、みんなで何処かに冒険に行く楽しいやつだったよ。可愛いもふもふや、知らないけど知ってる小さな女の子もいたり、よく考えたら色々ヘンだったけどね」 「ふーん……それ、縁起がどうとかは、よくわからないな」  初夢に関しては縁起が大切であるらしい。それで御所でも話題になっていた。 「オレもその日に、ヨリヤ達に訊かれたけどさ。よく見る夢を、そのまま見ただけだったから、あまり意味はないんだってさ」 「えぇー。何かしんどそーな顔だけど、嫌な夢なの?」 「そうかな? ……何かいっつも、妙に吐き気はするんだけど」  それ、明らかにしんどいんじゃん! と友人がツッコむ。夢をあまり覚えていないこともあり、アハハ、と少年は言葉を濁す。 「それより、暮れに見た夢の方が、何かハッキリ覚えてて……夢は沢山見るけど、こんなに覚えてるのは珍しいんだ」 「そうなんだぁ。どんな夢だったの?」  ハイ。とまた、通りすがりにしっかり広告を渡しつつ、帽子の友人は楽しげに、珍しくよく話す金色の髪の少年を見てくる。
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