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「ところでお主は、一見は、明らかに妖精の類じゃが」  そして彼女は、少年が初めから口を閉ざしてきたことに踏み込む。 「最早、精霊族であるが妖精ではあるまい。お主は何者じゃ?」  少年はそこでようやく――この占い師の元に来た真の目的。  他の誰にも打ち明けなかった、最後の問いを口にした。 「……遅かったわね、ユーオン」 「――ツグミ?」  その占い小屋を出て「花の御所」へと帰路についた少年を、占い師曰く混血らしい娘が、道の先で待ってくれていた。 「梅にちゃんと、聞きたいことは聞けたの?」 「ああ。聞くことはできたけど、答はあまりわからなかった」  ……と。気の強そうな黒い目で、肩につくすれすれの穏やかな赤い髪の娘は顔を顰める。このジパングという島国では定番の、着物という服の長めの袖も構わずに腕を組んだ。  少年は娘の難しい顔付きに、微笑みながら首を傾げる。 「何でツグミが怒ってるんだ?」 「バカ。アンタがまた、変な所で笑うからじゃない」  目的は果たせなかったというが、それでも納得しているような少年。その顔付きに、娘は何故かイラっとしたらしい。  そんなお人好しな娘の姿に、少年は何かを思い出しかけた。 「――ツグミは、いい奴だな」  一瞬の温かさと軽い(おそ)れ。それを誤魔化すようにまた笑った。  そうして、その赤い髪の娘の近くで過ごした数か月――  優し過ぎた時の夢も、呪われた夢と共に少年は抱く。  そのどれをも自らは語らず……ただ運命を探し始める。 +++++
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