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 その少女達と金色の髪の少年は、まだ家族となって日が浅い。  妹分とは、少年が現在の養父母に拾われた約一年前に出会った。  茜色の髪の少女に会ったのは、養父母が里帰りをした時だ。養母の両親の元にいた茜色の髪の少女の姿に、何故か少年は、初見で強い衝撃を受けていた。 「……何だ……あれ……?」  本来はどちらも魔性の紅だっただろう、少女の長い髪と目。  それがその背に刻まれた何かの影響で、茜色の髪と水色の虹彩の目になっているように少年には観えた。  紅い瞳にたたえられる赤い光は、少女が赤と紅を複合して持っていることを示す。勘の良さは非凡だと、行く先々で太鼓判を押される少年は、少女の脅威を充分に感じ取る。  その、有り得ない出で立ちもさることながら、 「……会ったことなんて、ないのに――……」  ただ純粋に、とても鋭く整った顔立ちの少女に、少年は強く懐かしさを感じた。理由はわからず、しばらく呆然と少女を見つめていた。  現在、大体の世界地図では中央にある島国「ジパング」の、更に中心である「京都」という町の少し南で。三人の少年少女は、一見何の変哲もない、ジパング式の一般家屋内にいる。  しかしこの家の内装は、商業の発達している西の大陸で好まれる「西洋風」で、談話に適した台所の机に集まる。ここの生活が一番長い妹分が用意してくれた、朝食と飲み物でまったりしつつ、今後のことを誰からともなく話題に出した。 「あたしはとにかく、『地』まで行く方法を探す。レイアスとアフィが帰ってくれば、何か知ってるかもしれないし」  茜色の髪の少女は、何故かそんなことを目的とし、妹分についてこの家にきた次第だった。  元々少女には知った家でもあった。というのも、瑠璃色の髪の妹分と茜色の髪の少女は、年は妹分が一つ上だが、形の上だけなら妹分は少女の姪だからだ。 「でも水華。おとーさんとおかーさんのこと、ここで一緒に待つのはいいんだけど。本当のご両親を探すのは、もういいの?」  茜色の髪の少女は、妹分の養母の義妹になる。妹分から見れば、義理の祖父母の養女だった。
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