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「おう、きの……ほうじゅ……?」  ぽかん――と。  金色の髪の少年は目を丸くして、茜色の髪の少女の方を見つめ、少しだけ考え込んだ後に改めて尋ねた。 「……大きな宝珠?」 「違―う! 『黄輝(おうき)の宝珠』よ、あたしが狙ってるのは!」  普段の服装に袖の無い長いケープを羽織り、旅立ちスタイルの少女。同じく旅立ちルックの少年、片耳に翻訳機、シンプルな薄手の肩を出すケープを着けた相手に、呆れ顔でそう返してきた。 「水華ってば本当、この間からそればっかりだよね」  彼らと同じ道中、ジパングは京都のある場所に向かいながら、奇妙な生き物を肩に乗せて付き添う妹分が笑う。 「確かクアン君が次の、『赤火(せきか)の宝珠』の守護者なんだっけ? だから水華も守護者になるだなんて、無茶だよねぇ」  南の地にいた守護者の家系の、同年代の少年と関わった少女はそんなことを言い出していた。強い力の持ち主だったその優しげな美少年と、まるで張り合いたいかのようらしい。 「だってどーせ、その宝珠の守護者はずっと空席なんでしょ? それならソレを手に入れちゃえば、この先誰が襲ってこよーがあたふたしないで済むってもんでしょ」 「それはまぁ、そうだけど。おとーさん達が帰らない限りは、アラス君がまた来ても、おば様達の所に避難もできないしねぇ」  守護者の一人である、その敵対者への対策を話し合った結果、三人の少年少女は現在この竹林を歩いているのだった。  その竹林は、最初に少年が天使のような人形達に出くわした場所でもある。そのためか警戒心に満ちた顔で、少年は改めて、その道を行く少女の目的を確認する。 「水華が『地』に行きたいのは、その宝珠を手に入れるためか?」 「そーよ。今は『地』にあるはずだって、ザイも言ってたし」  南の島にいる時に、少女はふと手にした本から宝珠の存在を知り、ついでに四天王やら魔王やらの旧い情報まで、滞在先の城の主から聞き出したと言う。 「その宝珠があれば、火や水とか単属性だけじゃなくて大体どんな力も使える、万能にして最強の宝珠らしいのよね」
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