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 天空にあるという聖なるその島――「地」に行けば、魔王の残党に狙われた彼らの問題への対抗策がある。  青銀の吸血鬼の来訪があった後の作戦会議で、そうしたことを口にしたものの、「地」に行く方法自体はさっぱりわからない。そう悩ましげだった少女に 、少年は躊躇いがちに言った。 「……多分、『地』に行く方法がわかる奴、オレは知ってる」  それまで口にしなかったこと。青銀の吸血鬼に対抗するために、静かに爆弾発言をした少年だった。 ――わしは遠い昔、『地』の無力な住人だったのじゃ。  そしてその占い師を訪ねるべく、京都より少し南に位置する安全な自宅を、少年達は後にしていた。 「それにしても、そんな奴知ってるなら何でアンタ、あたしにすぐ教えなかったわけ?」 「……」  その家に少女が留まっていたのは、世界の様々な場所を旅し、「地」のことも知っていそうな義理の兄弟――少年と妹分からは養父母を待つためだった。しかし「地」について既に知る者がいるなら、いつとも知れない帰りを待つ必要は無かった。敏い少女は不服気だった。 「でも私も、梅おばあちゃんがまさか天に住んでたヒトなんて、信じられないなぁ。ユーオンは何処でそんなこと聞いたの?」 「……直接聞いた。詳しくは知らないけど」 「えぇーっ。ああ見えても梅おばあちゃん、凄く秘密主義で、素性不明なのに? おとーさん達も多分知らないことだよ?」  そーなんだ、と。不思議そうな妹分に、少年はそれだけ呟いて返した。  それはおそらく――彼女と似た境遇である少年にだからこそだった。 ――ところでお主は、一見は、明らかに妖精の類じゃが。  何かの願いのために、その占い師は長い時間、自らの意識の連続性を繋いできていた。 ――最早、精霊族であるが妖精ではあるまい。  それと在り方が似た、呪われた生を受けた少年。それ故に伝えた占い師の真実。
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