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 結局の所、初回の作戦会議の結論はそうした感じだった。この強い結界のある家内で息を潜めるか、もしくは何か――大きな力を手に入れるしかないと、「地」へ行きたがった少女だった。 「――結局、どうしようねぇ?」 「……」  先日に引き続き、作戦会議だと三人の少年少女は台所に集まる。瑠璃色の髪の妹分が用意した飲み物と軽食を前に、妹分以外の二人共が難しい顔で黙り込んでいた。 「私達、梅おばあちゃんを本当に信じていいのかな。『地』に行ける場所、行く方法を教えてくれるって言うけど……何だか変なことになってきちゃったよね」 「…………」  いつも笑顔の妹分は、今夜は苦笑いの多い様子だった。 「まさか……水華が『黄輝の宝珠』の守護者になるはずだったヒトの生まれ変わりなんて、言われるとは思わなかったよね」  そうして昼間に起きた突飛な出来事を、黙り込む者の代わりに、さらりと口にするのだった。 「ユーオンはどう思う? 梅おばあちゃん、変だと思わない?」 「……いや。多分何も、嘘はついてなかったと思う」 「私は正直、よくわからないよ。生まれ変わりとかそんなの、ユーオン達には普通にあることなの? 誰が誰の生まれ変わり、そんなのって簡単にわかることなの?」  淡々と妹分は、あくまで軽い調子で、人間一般としての感覚で不思議そうに話を続ける。 「水華自身はどう? もし本当のことなら、願ってもない話かもしれないけど……」 「……」  その占い師に会ってからは、茜色の髪の少女はこうして、ほとんど黙った状態だった。問いかけてきた方ではなく、何故か少年の方を向いて、面白くなさそうな顔でようやく口を開いていた。 「……アンタはどうなの? ユーオン」 「――へ?」 「アンタとレイアスが――親子だろうって。それも前世のことなんだって、あの占い師、言ってたじゃない?」 「……――」  少年と養父の、その姿形の類似は偶然ではないと――  少年は間違いなく、養父にとって子供に当たる存在であると、占い師は初対面に断言していた。今日の日中に改めて、それは遠い先の世の縁であると、言葉を加えたのだった。
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