14/18
前へ
/425ページ
次へ
 有り得なかった世界の夢では、必ず最後にいつも――  銀色の髪で赤い目の少年が、同じ言葉を残していく。 ――シーのこと、よろしく頼んだぜ。  赤い目の少年は何故か、銀色の髪で青い目の少年がよく知った姿だ。少年に命がけの呪いを施し、名を譲ってくれた遠い誰かと同じ顔なのだ。  だからもしも、昼間の占い師の言葉を借りるなら……――きっと、誰かの生まれ変わりとでも呼ぶべき存在だった。 「そんなの――……何の意味も、ない……――」  こんな夢を観るのは、同じように銀色の髪で赤い眼のヒトが、夢でなく少年の前に現れたからだろう。  銀色の髪で赤い目の吸血姫。その顔は赤い目の少年の母と同じで、青い目の少年には育ての母の姿。 ――キラ、ユオン……こっちへいらっしゃい。  赤い目の少年と青い目の少年を呼ぶ声。その声の主は、眼を常に覆い隠した姿で、元の顔立ちは見る影もなかった。  けれど青い目の少年には、女性の本来の姿が観えていた過去。 「……何で……母、さん……?」  あの育ての母の、おそらく生まれ変わりである女性。  だからその女性と瓜二つの茜色の髪の少女に、信頼感が生まれる(えにし)
/425ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加