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有り得なかった世界の夢では、必ず最後にいつも――
銀色の髪で赤い目の少年が、同じ言葉を残していく。
――シーのこと、よろしく頼んだぜ。
赤い目の少年は何故か、銀色の髪で青い目の少年がよく知った姿だ。少年に命がけの呪いを施し、名を譲ってくれた遠い誰かと同じ顔なのだ。
だからもしも、昼間の占い師の言葉を借りるなら……――きっと、誰かの生まれ変わりとでも呼ぶべき存在だった。
「そんなの――……何の意味も、ない……――」
こんな夢を観るのは、同じように銀色の髪で赤い眼のヒトが、夢でなく少年の前に現れたからだろう。
銀色の髪で赤い目の吸血姫。その顔は赤い目の少年の母と同じで、青い目の少年には育ての母の姿。
――キラ、ユオン……こっちへいらっしゃい。
赤い目の少年と青い目の少年を呼ぶ声。その声の主は、眼を常に覆い隠した姿で、元の顔立ちは見る影もなかった。
けれど青い目の少年には、女性の本来の姿が観えていた過去。
「……何で……母、さん……?」
あの育ての母の、おそらく生まれ変わりである女性。
だからその女性と瓜二つの茜色の髪の少女に、信頼感が生まれる縁。
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