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「ユーオン! 大丈夫!? いるの、ユーオン!?」
景色が完全に元の林道に戻り切る前から、瑠璃色の髪の妹分の声が響いてくる。
「ラピス、待つんだ――今迂闊に踏み込めば巻き込まれる」
焦って少年を探す妹分をなだめるように、どうやらこの空間を壊した張本人らしい、想定外の落ち着いた声が一緒に届く。
「……え?」
その声の主が何故ここにいるのか。戸惑いの思いに金色の髪の少年は我に返った。今まで起こっていたことが何なのか、全くわからない混乱は覚めずにいたが……とにかく立ち上がり、声の主を探してきょろきょろと辺りを見回す。
「何で――……レイアス……?」
次の瞬間、すっと少年の前に降り立っていた人影。
大きく紫の目を見開いて丸くする少年が、無事であるとわかって安堵したように、降り立った人影は穏やかに笑った。
「――大丈夫か? ユーオン」
立ち尽くす金色の髪の少年の頭を、ぽんぽん撫で叩いてくる。
傍らには瑠璃色の髪の妹分もしがみついた状態で、その肩を大切そうに抱きつつ、義手である右手で少年の頭を撫でる男――
紛れもない彼らの養父の姿が、そこにあったのだった。
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