直前  -the calm tempest-

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 遠い昔は灼熱地獄。現在は開発途上の南の島の一城で。  朝一番から、水華(みずか)にここ数カ月同伴する相方のPHSが、目覚まし代わりに鳴り響いた。 「もしもし? おはよーくーちゃん、元気してた?」  その幸せげな着信音は、相方ラピのPHSの、待ち受け画像の少年とすぐにわかる。 「今? 大丈夫だよ~。お寝坊さんなヒトが近くにいるから、叩き起こすくらい派手にお喋りしたいなぁ♪」  まだまだ起きる気のない水華は、意地でも惰眠を決め込む。  伝話相手は唐突な質問をしたようで、ラピが首を傾げていた。 「うん? うんうん、いるよー。前も話した、去年くらいから私と同じで拾われたお兄さんなんだけど」  その質問はもう一人から、とPHSの話し手が変わったようだった。 「おはよー(つぐみ)ちゃん、久しぶりー♪ みんな元気―?」  あくまで我関せずと、布団を被り直す水華なのだが……。 「っええええっ!?」  その声はあまりに、無視できないほど大きかった。 「ユーオン、そっちにいるのぉぉ!?」  数少ない義理の親戚。彼女らと年代の近い誰かの名前。  何も関係ないはずの水華は、ようやく目を開ける―― +++++
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