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「……?」
少年はその占い師の厳しい目線に、ただ不思議そうに首を傾げる。
「…………」
これ以上は無駄と知った占い師は、黙って手のカードを切り、現れた予想通りの結果に溜息をついた。
「答を言うなら。その妖精から失われた『羽』さえ取戻し、何らかの方法で再び繋ぐことができるなら……それは可能じゃ」
ふーん、と淡々とした表情のまま、少年は頷く。
「しかし『羽』が、何処にあるかはわからぬし――どうすれば繋げられるか、それは今のわしには言えん」
あれま、と。少年は紫の目を丸くして占い師に尋ねる。
「そっちは、わかってるのに?」
何で隠すの? と勘の良さで追求すると、しっしと占い師は追い出しにかかった。
「これ以上は追加料金を請求するぞ。さ、もう帰った帰った」
そうして具体的なことは教えてくれなかった。
しかし少年にとっては、妖精の「羽」がまだ消えていないことがわかっただけで、現状把握としては及第点だった。
「そっか。じゃ、頑張って自分で探すよ」
その答を当たり前のように告げた。そうして占い小屋を後にした「剣の中の誰か」だった。
「ユーオン……どーしたの?」
「――え?」
ふと我に返ると、瑠璃色の髪の妹分が少年をじっと見ていた。
「最近何か、様子変だよ? 前より更に小食になっちゃったし……夜もずっと、あんまり眠れてないんじゃないの?」
珍しく笑顔でない妹分は、深刻な顔でもない。そんな時こそこの妹分は、本来の姿に近いと少年は無意識に知っていた。
「何でもないよ。ちょっと考えごとをしてただけだ」
「……でも、あんまり無理に、私達に付き合わなくていいよ?」
妹分は深い青の目に、まっすぐに少年を映して口にする。
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