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 その守護者に対峙したのは、ほとんど「銀色」だったため、金色の髪の少年には相手の思惑はわからなかった。 ――ソール曰く、俺かアラス君が本命らしいですけどね。  守護者のことをお人好しだと称した神父も、守護者自身も――人形使いである幼子の傀儡というなら。その幼子の目的は何か、それだけは今も、直接幼子を観ていない金色の髪の少年はわからないでいた。 「銀は……いったい、どうしたいんだろ」  相手が誰かわからないまま、確かに銀色の髪の少年は、幼子の操る赤い天使の手をとろうとした。その後全く、伊勢の夜のような不審な幻が出た時も、姿を見せなかった。  少年と「銀色」のずれが、そうして段々大きくなっていることは、少年は気が付いていた。 「オレは……どうしたいんだろう……」  怖いのは一つ――それが決して「ずれ」ではない可能性。今の少年に、現状が観えていないだけではないかという、その(おそ)れだった。  そんな少年に、現実の厳しさをつきつけるかのように。  森の道を島の中央に向かい、慎重に歩いていた一行へ、無人の島に有り得ないはずの人影が唐突に襲いかかっていた。 「――!!」  咄嗟に動いたのは、現状把握に優れた少年ではなかった。  とにかく飛び込んできた大きな鎌を持つ影が、その黒い刃を誰かに届かせる前に、跳び上がった養父が長剣を振り抜き、鎌ごと相手を弾き返した。 「――え!?」  少年はただ、驚愕する。その奇襲に気付けなかった自分自身に。 「ってあいつ、何でここが!?」  茜色の髪の少女も驚く声を上げ、空へ弾かれた影の正体を悟る。 「あの人形、魔法だけじゃなく、気配封じもきかないわけ!?」  少女と少年の視線の先、そこには確かに大きな黒い鎌を持つ処刑人……赤く幼げな天使の人形が、もやもやと黒い翼で宙に留まっていた。
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