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「このままじゃ埒あかないし! 人形使いを直接叩かなきゃ、こいつどーにもできないわよ、レイアス!」  度々襲い来る疲れ知らずの敵に、少女は当然の結論を告げる。  その姿と、更には赤い天使に躊躇なく刃を向ける養父にも、理由のわからないショックを少年は受けていた。 「違いない。あの鎧を破壊する方法はそれくらいだろう」 ――誰かには大切だったことも……次のそいつには関係ない。  その上何かの因縁があるのか、赤い鎧の天使に憎悪すら養父の眼は湛えている。それでこれまでの理性を飛ばしていたようだった。 「見つかった以上、隠密行動は不要だ。飛竜を預けるから、水華は人形使いを探して叩け」 「おっ♪ そー来なきゃ!」  気配封じを解除した少女は、枷が一つ減った、と不敵に微笑む。 「深追いするな、無理そうならすぐ合流地点に戻れ。ラピスとユーオンは任せたからな」 「はいはい――ってそれ任せ過ぎ! 飛竜こっち来るとはいえ、後何人、敵いるかなのに!?」  強力とはいえ義理の妹の当然の抗議に、養父は遊びの無い顔で答えた。 「飛竜の眼は俺の眼だ。何かあればすぐ合流する、それに――」  ここに来て養父は一つ、確信のあったらしいことを口にする。 「敵の大半は弱体化してるはずだ。人形が一体しか来ないのは、ここでは動けないからだろう」 「確かに……あの人形達、魔の気が強い感じだったし」 「黒の宝珠も『黒魔石』と言うくらいだ、この場所では真価は、祭壇の『地』と言えど発揮できない。人形使いに狙いを絞れば、敵にダメージを与えることはできる」  ただし、と養父は、目前の赤い天使という脅威に、至ってあっさり言った。 「俺が死んだら飛竜は消える。その時は何が何でも水華の羽で全員逃げてくれ」 「無理だし! せいぜい一人運べるかどうかだし!」  その可能性は無くは無いと、囮となることを決めた養父は言うが、少女はあくまで不敵さを崩すことはなかった。 「義手だからってナマ言ってんじゃないわよ。最悪『地』ごとぶっ壊しても人形使いは叩いてやるから、待ってなさい!」  そうして再び現れた飛竜に、茜色の髪の少女は少年と妹分を引っ張るようにして乗り込んでいく。  飛竜の方に斬りかかろうとした赤い天使を、灰色の眼の養父は当然の如く受け止めて弾く。 「頼んだぞ、水華――!」  そして養父と赤い天使を残し、飛び立った少女達と少年だった。 +++++
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