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最初に来た天空の島の西端を目指して、少年達はただ、無我夢中に森を走った。飛竜は氷剣を防ぐため力を使い切り、ヒトを乗せることができなかった。
「全く、レイアスってばずーっとあの人形と戦ってるわけ!? あたし達が合流地点に着くぎりぎりまで戦う気!?」
使えない飛竜に文句を言う少女に、全く異論なさそうな飛竜は、つまり少女の言を完全に認めているようだった。
「何がそんなに気になってんの!? ってそっか、ユーオンの前世パパなら、あの人形にも前世パパってわけ!?」
自分で言って自分で納得と、頭の回転の速い少女は一人忙しい。
「おとーさんは多分、飛竜の耳で、ユーオンの妹ってきいて……足止めだけじゃ気が済まなくなったんだと思うよ」
途中から何と少女に担がれていた妹分は、淡々と口を挟む。ヒト一人を抱えても少年と同じ化け物の速度で走れる茜色の髪の少女に、少年共々つくづく感心していた。
「ユーオンのためにあのヒト、何とかしたいんじゃないかな。私達が着いたら諦めるだろうけど……おとーさん本当、いつも一生懸命だから」
「…………」
あーもー、と呆れながら走り続ける少女の横で。少年はずっと何も言えずに、ただ足を止めないことしかできなかった。
札の使用は七枚を超えるな。養父のその見立ては実に的確で、ちょうど七枚使った少年の体力は確実に限界だった。
さらには剣もいくらか使っていたため、聖地で少しでも気が強められていなければ、こうして走ることはできなかっただろう。
それでも少年には――たとえ限界が来てもこのまま走り続け、行かなければいけない場所があった。
「…………」
その道の果てを思い……金色の髪の少年はふっと顔を曇らせる。
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