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――オレ……思ってた以上にろくでもないっぽい。
「銀色」がずっと隠していたこと。それが青白い剣の夢だった。
何故ならそれは、ある終着を招く逆光を伴っている。その度少年は、激しい吐き気に襲われ続ける。
――殺さず勝てる程強くなれば、好きなだけ剣を使いなさい。
剣はヒトを殺すためのもの。だからそれはおかしな話。それでもその言葉に託された意味を、今なら少年はわかる気がした。
もう夢も何も観えないのに、吐き気が止まらない。それだけが今、少年の走りを支える力で……――
「――……かってなヤツ……」
そして少年がここにいる意味を根こそぎ奪う、少年自身の答だった。
人間の足では半日かかる所を、化け物の走りで、夕方前には島の端に少年達は辿り着いた。
後は合流地点の目印を、と少女達は探し始めようとしていた。
「大丈夫――ここから動かなくても、レイアスだけならすぐに、きりのいい所で帰ってこれるはずだ」
既にかなり疲労した少女達に、飛竜がここにいればこれ以上動く必要は無いと、不思議な程の穏やかさで少年は言った。
「そっか。そう言えばそうよね」
「うん。誰かが追って来たらすぐに逃げることになるだろうし、今は休んでいいんじゃないかな」
頷き合う少女達を横目に、少年は心が落ち着き、安堵したように笑う。
島と空を隔てる周縁の円柱の間に立ち、沈みかかった夕陽を見つめる。
まだ薄明るい蒼い空と、その空に馴染む銀色の夕陽が眩しかった。
それらを背に、少年は不意に、少女達の方に振り返った。
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