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天空の島と空の境目に立つ少年は、空に剣を突き立てるように下向きに掲げる。
そのままそこで、心から安らいだような顔で微笑んでいた。
「悪いけど。後、よろしくな、水華」
「剣の精霊」はそうして、自らを生かしていた剣を躊躇なく手放す。
天空の島から剣が消えた。音もたてずに夕暮れの空に落ちていった。
そして宝珠を失った吸血鬼と同じように、少年は力を失い崩れ落ちた。
「ウソ……ユーオン――……!?」
あまりに唐突過ぎる結末を、瑠璃色の髪の妹は理解できず、
「……ちょっと。洒落にならないわよ、これ」
眼下の空に剣が消えた直後に、息を絶っていた少年を前に……それだけ凛と、茜色の髪の人形は断言したのだった。
Cry per B/DR. -dead relative-
C2上編 -了-
update:2015.5.20
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