直前  -the calm tempest-

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 それなので、呆れた顔は崩さないまま、淡々とラピに尋ねる。 「『花の御所』の奴らって、元々あんたの知り合いなんだっけ?」 「うん、そーだよー。鶫ちゃんと蒼潤君と、後は蒼潤君の弟の悠夜(ゆうや)君が、仲良くしてくれるんだよー」  にこにこと答えるラピは、不思議なものだよねぇ、と続けた。 「鶫ちゃんと蒼潤君とね、二人の友達のくーちゃんが、みんな私と同じ十四歳なんだ。クアン君達も三つ子で、水華と同じ十三歳でしょ?」 「偶然同年代が揃っただけじゃない」 「それだけじゃなくてね……何か、同じ匂いがするんだよね? 鶫ちゃん達と、クアン君達」  そこで不意に、ラピは柵の上にしゃがんだまま、何処か遠い目で海を見つめた。 「水華はクアン君達と、仲良くなれて良かったね」 「……」  別にラピは、先日まで共に学校にまで通った彼らと、打ち解けていないわけではない。それでもそういう性分なのだ。 「私はやっぱり、住む世界が違うのかなぁ。南のお城もそうだけど、花の御所にもしもお世話になっても、結局落ち着かないんだろーな」  この人間の娘は常に、人間ならぬ血を持つ者と一線をひいている。南の者との付き合いを通して、水華は改めて感じていた。 「ってことは、花の御所の奴らにも猫被ってるわけ? あんた」 「あははは。水華の前にいる私がホンモノとすれば、それより少しは多分マトモかな」 「逆だし! クアン達相手のがあんたチャラけてたし!」  常に笑顔で、時に濃い毒を吐いていたラピ。マトモの定義など興味ない水華すら、反論したくなることをラピは度々口にする。
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