4人が本棚に入れています
本棚に追加
/425ページ
それなので、呆れた顔は崩さないまま、淡々とラピに尋ねる。
「『花の御所』の奴らって、元々あんたの知り合いなんだっけ?」
「うん、そーだよー。鶫ちゃんと蒼潤君と、後は蒼潤君の弟の悠夜君が、仲良くしてくれるんだよー」
にこにこと答えるラピは、不思議なものだよねぇ、と続けた。
「鶫ちゃんと蒼潤君とね、二人の友達のくーちゃんが、みんな私と同じ十四歳なんだ。クアン君達も三つ子で、水華と同じ十三歳でしょ?」
「偶然同年代が揃っただけじゃない」
「それだけじゃなくてね……何か、同じ匂いがするんだよね? 鶫ちゃん達と、クアン君達」
そこで不意に、ラピは柵の上にしゃがんだまま、何処か遠い目で海を見つめた。
「水華はクアン君達と、仲良くなれて良かったね」
「……」
別にラピは、先日まで共に学校にまで通った彼らと、打ち解けていないわけではない。それでもそういう性分なのだ。
「私はやっぱり、住む世界が違うのかなぁ。南のお城もそうだけど、花の御所にもしもお世話になっても、結局落ち着かないんだろーな」
この人間の娘は常に、人間ならぬ血を持つ者と一線をひいている。南の者との付き合いを通して、水華は改めて感じていた。
「ってことは、花の御所の奴らにも猫被ってるわけ? あんた」
「あははは。水華の前にいる私がホンモノとすれば、それより少しは多分マトモかな」
「逆だし! クアン達相手のがあんたチャラけてたし!」
常に笑顔で、時に濃い毒を吐いていたラピ。マトモの定義など興味ない水華すら、反論したくなることをラピは度々口にする。
最初のコメントを投稿しよう!